〇ボタンをはなすな!
ブレスオブファイアⅤの思い出雑記です。
ブレスシリーズはオーソドックスなランダムエンカウント式ターン制RPG。しかしこのドラゴンクォーター(通称ドラクォ)は全5作品の中でも唯一異端なシステムで賛否両論が分かれます。
…ん?
全5作品で合ってますよ。大丈夫です。
ユーザーの間では
世界一安価な名作 とか ワゴンの神 とか不名誉?なキャッチコピーが付けられていますがこれは事実です。そうなってしまったのには当然理由があります。
システムにも触れつつ紹介します。少しだけネタバレもあるのでご注意ください。
1、システムが今までとは一変
ランダムエンカウントからシンボルエンカウントに変更。更にアクション要素がプラスされ、敵をエサで誘き寄せる、爆弾で事前ダメージを与える、といったことが可能。そしてキャラが敵を攻撃することでエンカウントとなる。(敵から接触された場合は相手がターン先制)
戦闘パートはテイルズシリーズのマルチラインリニアモーションバトルをターン制にしたイメージ。行動ポイントを消費して移動と攻撃を使い分ける。技ごとに縦横の範囲があり複数体巻き込んだり、相手をノックバックさせたりとシミュレーション要素を持つ。
またエンカウント時はフィールドのキャラ位置情報をそのまま参照し、一度に多くの敵と同時エンカウントするほどボーナス経験値が増える仕組み。なので戦闘前に敵を一箇所に集める準備が非常に重要。
しかし物語中にこのチュートリアルや強いヒントとなるようなメッセージはなく、初見ではアクションアイテムの重要性に気付きづらい。おまけに爆弾の価格は1個80z。最安値の回復薬が60zと考えるとおいそれと使えず、更に言えばこのゲームの敵シンボルは1度倒すと復活しない、つまり経験値とゼニーは有限。より拍車をかけている。
戦闘自体は面白いので、位置取りだけ気をつけて必ず先制を取るように心がければ充分楽しむことは可能。ただしブレスシリーズ特有のギミックを持った強敵も多くいるため正攻法で戦い続けると何度も全滅する。
2、D-ダイブ
ブレスオブファイアの象徴的なシステム、竜変身。今作でも主人公のリュウがD-ダイブというコマンドで使用可能。その強さはチートレベルで、初期状態でもラスボスを1ターンで倒せるほどの火力を得ることができる。
ただしペナルティーがあり行動するたびにD-カウンターという数値が上昇していき、これが100%になるとゲームオーバーになる。このD-カウンターは普段のフィールド移動でも緩やかに上昇していき、ストーリーを通して下げる手段は一切存在しない。またD-ダッシュという敵を弾き飛ばしながら進めるフィールドアクションでもカウンターが上昇する。
切り札でありながらこれを前提とした難易度設定なのがキツいところ。ここぞと言う場面で使いたいが、初見ではその見極めが難しく非常に悩む。上述した通り不意の強敵との戦闘では躊躇えば全滅する。
自分が初見時に使わざるを得なくなった場面はパトロールを刺激して大量のバウンサーに襲われたときでした。
3、セーブトークンとSOLシステム
おそらくこのゲーム特有のシステムであり敬遠されることになった原因。
このゲームはセーブするためにはセーブトークンというアイテムが必要で数は有限、入手数もごくわずか。
RPGでは新しい町についたらまずセーブ、レベル上げてセーブ、洞窟探索して回収したらセーブ、とこまめなセーブがセオリー。それができないこのゲームではミスをすれば数時間が飛ぶ。故にフィールドアクションに緊張感があり、ゼニーとD-ダイブの使い方に悩む。
では何故ここまで難易度が高いのか? その理由はSOLシステムにあります。
SOLは一部のアイテムを引き継いで最初から、もしくはセーブポイントからやり直せるシステム。資源が尽きた時やD-カウンター100%目前の時にセーブして完全に詰んでしまう場合などのリセット確定場面はもちろん、その他いつでも任意で選択することが可能。セーブ&ロードを繰り返すRPGを逆手に取ったシステムと言える。
SOLを一定数行うことで道中のイベントムービーが追加され更に物語を深く楽しめるので、SOL前提と考えればゲーム全体に漂う初見殺しはある意味仕様。
ただ、そうは言っても根本的な難易度は変わりません。プレイヤー自身のプレイスキルが上がらなければクリアは難しく不満は消えないでしょう。
世の中ガチゲーマーばかりではありません。長い時間をかけて覚えゲーをするぐらいなら他のゲームを買います。従来のブレスシリーズを想定していたプレイヤーとメーカーとで相違もあったはずです。
実際、今とは違い攻略情報が手軽に得られず、子供だった当時、本当にブレスオブファイアなのか?という違和感と難易度にヒイヒイ言っていたのを覚えています。
余談ですが、当時我が家はブレーカーがよく落ちていたのでこのゲームとの相性は最悪でした。
※システムの難しさは詰将棋に通ずるものがあり、手順を踏めばしっかりと解決、攻略することができるので決して理不尽なものではありません。
というわけで、ブレスシリーズらしからぬシステムと初見殺しを中心とした難易度の高さから評判はあっという間に下がりました。ネームバリューがあるだけに多くの在庫を抱えたのでしょう、即ワゴン行きです…。
しかし、それでもなお「名作」と呼ばれている、これにももちろん理由があります。
といってもバトル面にケチがついているなら残されているのはストーリーしかないんですけどね。
テーマはそらをみにいく
ストーリーの舞台は地下世界。人々は大昔に発生した厄災によって荒廃した地上との接触を完全に断ち、地下世界での生活を余儀なくされた。やがて発展を遂げた地下世界では身分の高い者ほど地上に近い層に住むことができる。しかし誰一人として現在の地上を知らない。
この身分はD値によって決定されており、D値とはその人物の潜在能力を示す数値とされ分数で表記される。この数値が1に近いほど身分が高いということになる。主人公であるリュウは1/8192とかなり低く、身分の低いものは「ローディ」と呼ばれ偏見や差別の対象にされることもある。(D値が表記されないほど低い者たちもいる)
おもいっきりはしょりますが、下層に住むリュウが道中出会うことになるヒロイン、ニーナの命を救うため地上、すなわち空を目指すことが物語の本筋となります。
汚染が進む地下世界ということもあり、自然な明るさがない。身分社会の概念が強く人間模様の描写が生々しい。一部グロテスクなシーンがある。といったことから全体的に暗い物語になっています。高難易度も相俟って辛いことだらけなのですが
ラストバトルからエンディングでそれまでの全てが報われます。
最後の最後にストーリーがゲームシステムを超越する瞬間は恐らくRPG至上でもトップクラスの感動があります。これほど評価が一変するゲームは他にないと言っても過言ではありません。
思えばブレスシリーズはどれもこの手法を取っています。それまで単なる1イベントでしかなかった、ともすれば印象の薄かった出来事がラストに全てフラッシュバックし繋がっていく。そしてそこには必ず竜の力が関わってきます。
正直、ストーリーでは多くの謎を残したままでありD値の本当の意味やリュウが選ばれた理由、統治者の存在意義などは不明瞭なままです。が、強大なインパクトの前ではこまけえこたぁいーんです。あまり詳しくは書けないのですが、最後までやって後悔したというプレイヤーは少ないでしょう。
まだプレイしたことはないけど気になる、と言う方は是非買って最後までプレイしてほしいと思います。当時発売日に定価で買った私からのお願いです。
ちなみに発売は2002年11月。月日が流れても名作は色褪せません。
残念ながらブレスシリーズはこの5作品で終わってしまったのですが、いつか続編、というかブレスⅥが出ることを心待ちにしています。
余談ですが、自分が初めて触れたブレスシリーズはⅢ。CMの情報だけで買ったゲームは多分これだけ、自分史上最高のゲームCMです。
街は入ってなかったけど。
あなたのすべての意見に同意ですが5作品をことさらに強調するのは笑ってしまいましたw
6が出て欲しいですね!
あるはずのない新作に何故か多くのファンが悲しみを背負った気がします。6、とても待ち遠しいですね…。