間が空きましたが
知人が書いた小説。
前回の続きからです。
ボロボロになりながらも父は三人と連れだって本部にたどり着いた。
門まで来るとホッと、安堵すると同時に全身の力が抜けるような気持ちだった 。
「────おまえら、何しに来た」
門番の思いもよらぬ問いかけに全員言葉を失う。
「よくむざむざと帰ってこれたな。恥を知れ!敗残兵ども!」
そう言うと同時に全員を殴り始めた。
四人でかかれば勝てないこともない。が、そういう問題ではない。
抵抗することもなく歯をくいしばる。
帰ってきてはいけなかったのだろうか……。
戦地で花を散らす、それが、、、正解だったのだろうか。
ひとしきり殴られた後、皆ふらふらした足取りで門を離れ被服部へと向かう。
軍服等をつくり管理する部署である。
顔見知りの者が何人かいた。
「よく、ご無事で。よう帰られました。良かった…良かった」
迎え入れてくれたその言葉に涙が溢れた。
軍服に身を包むとピシッと背筋が伸びる。
呼吸を整えた四人は再び門へと向かう。
近づいていき、姿を確認すると先ほどの門番は最敬礼。
「キサマ、俺たちの顔を覚えているか」
「え…、ハッ…」
すかさず門番の顔を二発殴る。
「俺にも殴らせろ」
周りが続く。
「俺もだ」
「オ、オレにもナ、ナグらせろ」
ひとり言葉につまる者がいた。吃音症だ。しかし言葉とは裏腹にその拳に迷いはない。
ひとしきり殴り門番を掴み起こす。
「いいか、よく聞け。これから続々と戦地から戻ってくる者たちがいる。キサマのように国内に残っていてはわからないかもな。実際の戦場を見ていないモノには。皆辛い経験をし、傷心をかかえ、たとえ不本意であっても帰らなければならない」
「────どうか、どうか温かく迎え上げてほしい」
「ハッ…!申し訳ありませんでした!」
門番に恨みがあったわけではない。
立場でもない。
仲間に理解されていないことへの怒りだった。