強化異常個体の強さは異常
フリゲSRPG 魔法少女のリメイク版です。
自分は体験版バージョンアップの度に連載型のような感覚でプレイしていましたが、想像以上に完成までのスピードは早かったです。
何度か感想を書こうと思っていましたが完成前にあれこれ言うのは野暮なので、クリアを機に改めて記事にしてみました。
ツールのパワーアップによりどのような変化があったのか、旧バージョンと比較しつつ簡素な感想を述べていきます。
なるべくネタバレをしないようにしますが未プレイの方はご注意ください。
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グラフィック
敵味方一新されており常に立ち絵が表示されるようになった。キャラは頭身が増え、やや大人びて見える。が、表情は柔らかく目のハイライトも手伝って温かい印象。
配色数の増加による影響が大きいと思う。表情(立ち絵)パターンの増加により、会話に臨場感と奥行きが増した。
また、戦闘時も被ダメージ数により立ち絵のパターンが変化するのは芸が細かい。
バイオモンスターはドット絵の無機質感や不気味さが消え、怖さやカッコ良さが強調されている。
無印と比べ全体的な陰鬱さが払拭されてしまった部分は賛否が分かれるかもしれない。ただし、女魔神型のグラフィックは戦闘力とイベントも相俟って恐怖である。
父親のグラフィックが出たときには感動してしまいました。これだけ可愛い女性キャラがいながらそこに反応するとは、、、不覚。
サウンド
旧版のおどろおどろしいBGMから一転、最初の戦闘からサイバーロック色溢れる近未来感へ。エレエス星の雰囲気を取り入れたのかと推測。
冒険したなーと思いつつもすぐに馴染みます。
物語が進むごとに戦闘曲のバリエーションも増え、思わず聴き入ってしまうものばかり。後半のイベント戦はまんぼう二等兵(作曲者)無双、展開の熱さをブーストしてくれます。
その反面、章終了時のBGMは切ないメロディーでほどよい余韻とクールダウンを。
闇鍋企画同様、場面に合わせた選曲と緩急の付け方が非常にうまいですね。
直接は関係ありませんが、旧ツール会話時の「ザンッ、ザンッ」のSEがないと物足りなく感じてしまったのは私だけではないはず。。。「ピギー!」が少しだけ入っていて思わずニヤリとしました。
シナリオ
北中中心のエピソードが増えて新キャラ、紀伊 ひよりが追加。それに合わせて祐樹の早期加入。など細かい調整はあるが本筋への変更点はなし。
それだけに今回のリメイクではそこまでの感動はないだろうと思っていました。旧版をプレイした時は戦闘よりも引き込まれるシナリオと、そのテキスト量に衝撃を受けていたわけですから。
しかし、上述したグラや音楽のパワーアップを加え、またも感動致しました。
元々これだけの表現を考えていたのか、それともリメイクにいたるまでの数年で作者側に変化があったのかはわかりませんが、とにかく超光の演出は最高でした。
表現方法は手段の1つにしか過ぎないものの、それでもこれだけ琴線に触れるのは根底がブレていないからなのでしょう。
戦闘
今回最も変化した部分。王道系のハーチウムを経てどのようなスキルに変えてくるか色々予想を立てながら楽しみにしていました。
旧版ではツールの限界からシナリオを補完するためのもの程度にしか見れなかったが、今作はやり応え充分です。
ステージをクリアすることで手に入るボーナスポイントがあり、これを使ったアップデートシステム(素ステータス強化や新技習得)、は道中でやり直しが効かないこともあり、誰を強化するか悩める楽しさがある。
味方はMP制、敵は回数制と分けたのはAIが偏りなく技を使える面白いアイデア。
味方の大技の反動は、安易な連発防止として戦略性を高めている。
基本的に強キャラほど技数(武器の種類)が多くその分アイテムが持てないと言う仕様。(技を外すのは不可)
ステータスアップの装備を持ったらそれでフルになるキャラも。
MP回復アイテムは「徐々に回復」となっており、これまた大技連発防止に一役買っている。強いキャラが数人いれば無双できる、というゲーム性ではないのでそれぞれのキャラに工夫のしがいがあり、ストーリー上の個性が戦闘面に活かされている。
理性のないバイオモンスターという設定上、敵はガンガン押し寄せて来る。
敵キャラによっては一定以下のHPになると威力の高い技を使用してくることもあり、範囲攻撃などで中途半端に削ると文字通り敵ターンに手痛い反撃を食らうことになる。
ただしこちらの攻撃に対しての即時反撃はダメージが半減の仕様、なので毎ターン雑魚を確殺することがセオリーとなる。
中盤以降になると新キャラの異常個体という色付きのバイオモンスターが登場する。通常個体とは一線を画す強さではあるものの、ケアしていれば難なく倒せるレベルだ。
しかし、本当の恐怖は巣を一定ターン放置すると出現する強化異常個体(以下 強個体)という適正レベルを大きく超えた敵、こちらである。
生半可な攻撃は通らず、1ターンキルを心掛けなければ超火力でこちらが落とされるため大技必須。
おまけに強個体は1つの巣につき5体前後登場するので、初めて人型と対峙した時以上の絶望を味わうことができる。
また、増援に対してMPを温存しすぎるとザコ相手に後手後手になり物量で押し切られてしまう。
その分倒した時には見合ったボーナスポイントが得られるので、このあたりのバランスが今作の戦闘面の醍醐味(やりこみ要素)となっている。
レベリング手段は豊富にあり、キャラロストもデスペナルティもない。
また無理に強敵を倒そうとしなければステージをクリアすることはそう難しくないので詰んでシナリオの先が見れない、なんてことはない。
しかし闇鍋企画やHeartiumでもそうであったように、氏の作品でやり込みは避けては通れない部分、ましてやSRPG studioによりパワーアップした戦闘面を存分に楽しむためには挑戦せざるを得ないだろう。
と、書いてみたものの実際SRPG作者はこのあたりをどう考えているのだろうか?
ノリノリで「難易度を高めにしたから頑張ってクリアしてみてね!」なのか、
嫌々で「わけのわからんやり込みプレイヤーのせいでここも詰めて作らなきゃいけないじゃん…」なのか。
自分は作る能力は皆無なので、ユーザーとしてやり込みの要望が、作者のモチベーションに繋がってもらえれば幸いです。
総評
個人作成のものなので、コンシューマーゲームにありがちなリメイクを謳っておきながら制作スタッフ全とっかえ、なんて不安は当然なし。
自分が旧版と比較しているのは、せいぜいノスタルジーや昔からやってましたという自己満足に過ぎません。
むしろ記憶を消してこのリメイク版を初見プレイしたかったぐらい。それぐらい面白い作品です。
ツールの古さからやや人に勧め辛かった点の解消が1番の改良、と言うのは失礼かもしれませんが面白いのは間違いないので、まだの方は是非プレイしてみてください。
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