フリゲ 闇鍋企画の感想

おろろーん

 

 

新説魔法少女をプレイしていたら闇鍋企画の感想を書きたくなりました。

闇鍋企画とは、以前に紹介したHeartiumと同作者TS氏によるSRPGで、氏の過去作全てをクロスオーバーさせた長編物語です。

さすがに今、一から再プレイをする気力はないので投稿動画を見ておさらい。

ニコニコ動画にアップされている「サウンドノベル風でやる【闇鍋企画】」を参考にさせていただきました。自分がクリアしたのは2年程前だったと思いますが意外と覚えているものです。

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こういったクロスオーバー作品はファンサービスを兼ねたお祭り的な面が強いが、今作はそのような些細な期待を軽々と上回ります。

闇鍋という名前とは裏腹に、各キャラクターの「その後」がストーリーを構築していくため、それぞれの作品は闇鍋企画を持って完結すると言っても過言ではありません。

それも単なる後日談に留まらないことは、2部構成全50話という点からも伺えるかと思います。全編40話、後編10話という内訳ながら、戦闘含めた濃密さは後編の方が上という骨太っぷり。

 

物語の舞台を天界とすることで過去の強敵や死別した仲間たちが無理なく登場し、RPGプレイヤーにとって馴染み深いであろう北欧神話をベースにすることで人間と神、生者と死者の構図がイメージしやすい点はとてもよくできています。1度終わったはずの作品が垣根を越えてなお続いていく様は元々1つの作品であったかのように見事な調和が取れています。

そんな大作の中で特に印象に残ったキャラの感想を。

 

 

龍氷
 
 
相変わらず破天荒な戦闘狂。シナリオ上でも戦闘面でも納得の強さを誇るも、その更に上をいく仮面の男、シリウスに敗北を喫し「死者は生前よりも強くなれない」という制約を最も痛感した人物。
 
しかし強さへの探求、勝利への渇望、自分への不甲斐なさを糧に、アイスドラグーンを飛龍(田吾作?)に見立てた奥義で遂には勇者アクエスすらも倒す。
 
これが本来の竜騎士龍氷の強さなのか、それとも死者の限界を打ち破った末なのか定かではないが、ラミエの命令を根性で拒否し続けるような龍氷だからこそ可能という説得力があるイベントでした。
 
ここに至るまでに龍氷とはこういうキャラだ、というのを様々な場面でプレイヤーに印象付けていただけに成長の過程が分かりやすく伝わったキャラだとも思います。
初出作品では伝わりきらなかった魅力がこれでもか、と凝縮されており間違いなく前編の主人公でした。
 
 
 
 
アリス
 
 
量産型「機」のマジカロイドの内の一人。人造人間という形容が近い。
 
魔法少女で最新の第三世代マジカロイドとして登場し、潜在能力が最も高いとされていたが登場が遅く、同時に登場した兵器の印象が強かったためあまり深くは追求されないまま出番を終えた。
 
今作ではリリーの魂を入れ替える器として仮面の男に利用された。
元来、感情は持たないが人間の肉体として過ごすうちにリリーが持つ感情や思考を自分のものとして捉え始め、再び元の肉体に戻った後でもそれは消えることはなかった。兵器として生まれた自己存在と朔也への思いに葛藤しながらも答えを出すため自らの意思で戦いへと身を投じることになる。
 
 
…という書き方をするとまるでメインヒロインのようですね。
 
参戦時期が終盤でありながらまだまだストーリーを熱くさせる様はヒーローでもあります。
「かき氷で少しだけわかりました。」というセリフは作中で最も印象に残った言葉でした。
 
彼女のエスコンビネーションのSは朔也にかけているのでしょうか?
 
 
 
 
シリウス
 
 
人智を超えた強さ。昴の騎士で最強だったにも関わらず、その後も修行を続けていたため更に強くなっている。という設定は超人を通り越して規格外。
 
設定上も戦闘面もゲームバランスを崩す程に強いのだが意外にも登場タイミングは早め。ただしスポット参戦がほとんどな上、経験値を吸わせたくないので戦闘に参加しないことの方が多かったりする。それでも場面ごとのボスを倒すためには必須。ストーリーの展開に合わせた参戦の仕方をするヒーロー。
 
数多くのキャラを惹きつける魅力を持っており、今作では龍氷と琴音が筆頭。(ベクトルは全く違うが)
 
上記のような主人公属性を数多く兼ね備えた悟空のようなキャラ、龍氷は差し詰めベジータといったところ。
 
テラとは一体どんな対話をしたのか、互いに満足できる答えを得たのかは気になるところです。
 
 
 
 
八嶋 唯
 
 
過去作を通して数少ない味方での死亡キャラ。
原作では単独で行き過ぎた行為を繰り返し、味方との確執を生み相互理解が得られないままの離脱となった。
 
それ故、生者との再会で、同じく死者の遥には多くの仲間が寄り添ったが、唯を呼ぶものはいなかった。仲が悪いというよりもお互いに警戒心がとけていないような状態。
自分を心から必要としてくれる人、唯にとって両親を殺すほどに欲したその相手は、皮肉にも殺そうとし、そして命を賭して助けたテロメアだった。
 
魔法少女で凄惨な最後を迎えた彼女が時間が経って赦された、報われたイベントは感慨深いものがありました。
遥やテロメアとのやりとりはツンデレそのもの、エンディングの1シーンには思わずニヤリとしました。
 
 
 
 
プロキオン
 
 
相変わらず全てを見透かしたよう兄さん。
 
キャラも強さもブレない、その存在感は主神オーディンが使役するほど。
 
仮面のマジカロイド戦で登場した時はカッコよすぎてシビれた。
 
こういうベタな展開こそプレイヤーが求めているもの。
 
この場面に限らず、闇鍋企画ではピンチに味方が助けにくる場面は多いのですが、どれもが予想を超える展開ばかりでワクワクさせてくれます。
 
 
 
 
摂津 玲奈
 
 
意外にも前編ラストを飾る登場キャラ。そう言えば忘れてた的な彼女らしい扱いをされる賑やかなイベント。
 
実は魔法少女の中で一番好きなキャラです。
 
というのも、初出作品の話になりますが、他の人物が戦いを中心に暮らしを考える中で、唯一普段通りの生活を送ることを考えていたためです。
 
当たり前のように戦っている皆がおかしい、と思う感性。
 
これは葉子のように如何に戦いを降りるかとは全く別の観点で、もしこれがリアルの世界ならば玲奈の意見が最もだと思うはずです。
 
しかし思春期の団結力か、千代子のカリスマ性がそうさせたのか、ゲームの中ではマイノリティーな存在となりました。
 
琴音を目の敵にするあたり、他人からの評価を非常に気にする性格のため空気を読んで皆と行動を共にしましたが、もしその一線を越えていたら唯のようになっていたかもしれません。
良くも悪くも、ほんの小さなキッカケや立ち振る舞いで立場は変わってしまう、という対比の中間を担ったキャラだったと思います。
 
 
 
 
アルハヨット
 
 
既出であり初出でもあるキャラ。現世の骸骨はカペラの願望が全面に押し出されていたが、こちらのアルハヨットは戦争の真っ只中であることも相俟ってクールな戦略家という印象。
 
登場時点では一軍の能力、神父でありながら闇の魔法を覚えたのは「神が裏切った時のためだ」、というユーモアあるキザなセリフを言い放つ2枚目キャラ。
 
 洗脳され、味方に攻撃される最期は少し切ない。
 
ミカエの起こし方を知っているということは、彼もチャレンジしたのでしょうか…?
 
 
 
 
霧島 千代子
 
 
最も悲惨な主人公だっただけに今作で一番救われたキャラ、そこに尽きる。
ラストの主人公’sの協力は燃える。
 
ゾンビのモノマネをしたり遥とのやり取りで腑抜ける千代子にほっこりしました。
 
一緒に超光を打った記憶なんてないというのはいかにも遥らしい。
 
超光とちよーこーは遥が指摘するまで自分も気づかなかったのですが、作者は狙って名付けていたのでしょうか?
 
 
 
 
 
 
というわけでキャラに関しては以上です。さすがに全てのキャラを振り返るには膨大すぎるのでほんの1部の紹介となりましたが他のキャラもイベントも、正直ほぼ全部に魅力が詰まっています。
 
では何故これらのキャラクター達にここまて惹かれるのか?
それは彼らが単に記号化されたキャラ「付け」ではなくその物語に生きる人だからでしょう。
 
 
 
会話劇において役割は重要ですが、それは固定化される必要はありません。
時として烈のように一見冷静な人物が会話の流れ上ボケに回ってしまったり、アルネのようなぶっ飛んだキャラが舌をまくような解決策を講じたりと、キャラの持つ振れ幅の広さがリアリティをもたらしているのだと思います。
 
プレイヤーにあえてキャラの心情を気づかせるため、その会話の中に機微を織り交ぜるバランスの取り方のリアルさが闇鍋企画、引いては氏の作品の魅力です。
今作は数多くの仲間がいることもあり物語全体にもプレイヤーにとっても、きっとなんとかなる、という安心感があったように思えます。登場人物の様々な側面を安心して見ていられたのはそのためかもしれません。
 
 
戦闘面に限らず、成長と進展が会話から垣間見えるのはストーリーを追うモチベーションに繋がります。全50話もありながら飽きさせないのですから。
 
また、その世界観をキャラクター達が最低限共有していることはプレイヤーにある種の安心感を与えてくれます。行き過ぎたメタ発言は物語のガンになり得るので、脇役であろうと登場人物が舞台を降りないことは重要です。
 
 
過去作含め闇鍋企画の根底にあるのは子供の頃に熱くなった少年漫画を彷彿とさせる燃える展開なので、その世代の人にこそ勧めたい……。 
 
のですが初出作品をプレイする必要があり、そちらも長作なので安易に人には勧められないジレンマがあります。
 
もし昴の騎士や魔法少女をプレイして雰囲気が気に入ったならば是非プレイしていただきたい。
 
 
特に今、魔法少女は新たなツールでリメイクされたため非常にタイムリーです。
 
 
 

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